SteamPrison
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EVENT SCENE
「どうだ」
【フィン】
「……」
【キルス】
「……」
【フィン】
「えっ、あの、キルス!?」
【キルス】
「似合っているかどうか意見を聞こうと思ったんだが……」
【キルス】
「君の感想はよくわかった。結構だ……ありがとう」
【フィン】
「結構って、な、何がですか!?」
「では、お前にも理解できる話をしましょうか」
【キルス】
「!」 優雅な足音を立て、エルトクリードさんがやってきた。
【キルス】
(やはり、雰囲気が異なる……) にこにこと微笑んでいるのに、双眸には氷の冷たさが宿っている。
【エルトクリード】
「……俺はね、お前を信用していたんですよ。にも関わらず、お前は俺を裏切った。俺の善意を踏みにじった」
【ゴロツキA】
「あ……ああ……」
【エルトクリード】
「話し合いで解決しようとしてあげたのに……それすら拒むとは……本当に、ひどい男だ」
「苦手なのか?」
【キルス】
「そうではなく……いや、そうかもしれないけど……」
【キルス】
「そもそも、上界では滅多に起こらないものなんだ。知識としては知っていたんだが……」
【ウルリク】
「……はは。あんたにも怖いものがあんのか。可愛いとこあんじゃん。――手、貸しなよ」
【キルス】
「えっ」
【ウルリク】
「立ち止まられたら先に進めないだろ? だから……引っ張っててやる」
【キルス】
「あ……ありがとう、ウルリク……」
「どうでもいい」
【キルス】
「どうでもよくはないだろう。困っている人がいるんだ」
【キルス】
「困っている人を助けるのが医者で……アダージュさんだろう?」
【アダージュ】
「どうでもいいんだ。放っておいてくれ」
【キルス】
放ってはおけない。アダージュさんは私にとって、大切な――」
【アダージュ】
「……大切な、なんだ」 アダージュさんは料理の手を止めると、私を見た。 睨みつけられ、言葉を失う。
【アダージュ】
「アンタにとって大切な、なんだ……オレは、何者なんだ」
「? なぜ笑う」
【キルス】
「いえ……まるで学生みたいだな、と」
【イネス】
「ある意味、学生で間違っていない。学ぼうとしているのだからな。 だからお前に、どう呼べばいいかと尋ねたんだ」
【キルス】
「なるほど。……こうやってノートを開けると、学生時代を思い出しますね」
【イネス】
「そうだな……。お前はどんな学生だったんだ」
【キルス】
「私ですか? 私は……普通だと思います」
「それで……愚かなお前は、私を殺すんだね?」
【ユネ】
「いいよ、やってみて。今の時代の銃なら、期待できるかもね」
【暴漢】
「黙れ……死ね!」
【キルス】
「!」
【暴漢】
「ぐあああ!!!!」 引き金を引いた瞬間、男の持っていた銃が暴発した。破裂の衝撃に耐えられず、銃を握っていた手は腕ごと千切れ、地面に転がる。
【暴漢】
「う、ううううう……」 その場に崩折れる男の顔には脂汗。痛みに耐えているらしく、唇を強く噛んでいる。
【ユネ】
「よかったね、死ななくて」 ユネ様はぽつりと言葉を漏らす。
「あ――」
【キルス】
(フィン……) 紛れなく、幻でもない。 目の前に現れたのは、フィン・ユークレースだった。
【フィン】
「……」 フィンは男の手から剣を奪うと、背に刺さったナイフを足蹴にした。
【ゴロツキB】
「うあああああ!」
【ゴロツキC】
「テメェ、何しやがる!!」
【フィン】
「それは俺の台詞だ」
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